JAKIGAN MEISTERの最新シングル「Que sais-je?」の全貌を咲人自身が徹底解説! たっぷり語った最新インタビューが到着!

――JAKIGAN MEISTERとして、久しぶりにシングル「Que sais-je?」がリリースになりました。ナイトメアの活動もあった中、この時期に音源を出そうというのは予定通りだったんでしょうか?

咲人:今年のアタマぐらいにはザックリ決まってました。で、5月はナイトメアのレコーディングをずっとやっていたから、その合間を縫って制作してましたね。

――ある種、同時進行だった?

咲人:そうですね。

――いや~、サクッとおっしゃいますが、器用な人でないとできないと思いますよ。

咲人:しかも、あの頃は4つくらいのことが同時進行だったかな。

――すごい……。どうやって折り合いをつけていったんですか?

咲人:モードが切り替わるんですよ。自分的には、そういうことがある種の息抜きになってるのかもしれない。

――違うモードになることで、逆にリフレッシュするみたいな? ポジティブですね。

咲人:例えば、こっちではできないけど、こっちではできるっていうこともあるわけですよ。そういうところで気分転換になってるんだと思う。だから、あとは時間勝負だよね(苦笑)。

――時間だけはどうにもならないですもんね。

咲人:そこは大変だけど、何もやることがない方が俺にはストレスになる気もするね(苦笑)。

――で、今回リリースするにあたって、どのくらい曲を作ったんですか?

咲人:曲数はシングル用としてピンポイントでしたよ。ただ、カップリングの「微睡む」は過去のアーカイブの中から引っ張り出してきました。

――では続きまして、「Que sais-je?」から詳しくうかがっていきたいと思います。曲調がかなりポップな仕上がりですよね。まわりからも言われていると思いますが、これは意識されたんですか?

咲人:俺自身はJ-POPも好きだから、ちょっと現代的なポップスを作ってみたいなと思って。

――すごく新鮮でした。JAKIGAN MEISTERが新しい扉を開いたみたいな。

咲人:そんなに意外なのかな? そういえば、レコーディングしている時もエンジニアさんに「これ、いいよね」って言ってもらえたんですよね。

――“こういう曲もアリなんだ!”っていう意欲的な意図を感じました。ライブでのお客さんの反応が興味深いです。

咲人:ノリはどうなるんだろうね。今までのバンドらしいノリとはちょっと違うかも……。ナイトメアの場合はノリを意識して曲を作ることも多いけど、JAKIGANでは自分がやりたいこととか、どこにも出せない自分自身の音楽要素を出せるんです。だから、自然にやりたいことを形にしただけなんだよね。

――細かいしばりとかコンセプトを考えずに曲を作る時がいちばん楽しそう。

咲人:あ、それはあるかも。ナイトメアのリード曲を作るとなったら、めちゃめちゃ考えちゃうんですよ。でも、アルバムの中の1曲を作ってる時って結構楽しいんだよね(笑)。その感覚に近いのかもしれない。制約もないし、好きなように作ってるから。でも、今回のシングルで1ヶ所だけ心残りを言うと、自分が持っているベースの調子が悪くて、生のベースを入れられなかったんですよ。そこで俺のファンクっぽさを出そうと思ったんだけどね。結局リズムは打ち込みにしました。もちろん、できるだけ生っぽくしたけど。

――Ni~yaさんにベースを借りればよかったのに……。

咲人:それがもう時間がなくて……借りようとは思ったんだけどね。

――生ベースはまたの機会に!

咲人:そうだね。やっぱり生の音はいちばんいいから。

――楽しく作った「Que sais-je?」ですが、正直このタイトルからあの曲調は想像できませんでした(苦笑)。

咲人:激しくはないだろうなって感じはしたんじゃない?(笑)。フランス語の柔らかさから想像できる曲調の範囲かなとは思ってるけど。

――JAKIGAN MEISTER……というか、咲人さんにはどちらかと言えば、アジアっぽいテイストのイメージがあります。

咲人:自分が目指すところとしては、無国籍&多国籍みたいな。どこの国の何を目指しているかわからない、何が飛び出すかわからない……っていうのが目指しているところなんだよね。そういうのがいちばん楽しいんで。

――タイトルからは、すごく哲学的で難しいことを表現しているのかと思いきや、実は曲の冒頭で答えが出ちゃってるんですよね。“答えが見つからなくても歩いていこう”って。

咲人:あ~、そうね(苦笑)。歌詞を書く時って、車を運転しながら何となく曲を流してて……ボーっとしながら口ずさんでハマる言葉を入れたり、あとは支離滅裂でもバーっと言葉をはめていったりするんですよ。まぁ、この曲に関しては、言いたいことはタイトルのままかな。それこそ、最初に“こういうことだよね”って言っちゃってるし(苦笑)。

――モヤモヤしないで済みました(笑)。でも、これって人が生きていく上での根本的なテーマですよね?

咲人:少なくとも自分に近い考えを持っている人とか、同じような不安や悩みを抱えている人の背中にそって手を添えてあげられるような……“いろいろ辛いと思うけど、俺はいるよ”っていう。そういう曲になればいいなっていうのはあります。

――いくつになっても答えはなかなか見つからないですしね。

咲人:みんな大なり小なり考える人はいると思うけど、答えを見つけることが全てではないわけで。実は俺の中で、おばあちゃんが亡くなったことも大きな要素としてあるんですよ。ウチのおばあちゃんって、別に“これが好き”とか自分の趣味があったような人じゃなくて。変な意味じゃなく、亡くなった時に“おばあちゃんの楽しみって何だったんだろうな”って思ったんです。孫とかひ孫を見ていて楽しそうだなっていうのはあったけど。あと、自分の母親に関しても「ちょっと遊びに行ってくる」とかそんなのを見たことがないんだよね。母親って誰よりも早く起きて、朝ごはん作って……。でも、そういう人生もあるんだなって。この曲にはそういうものもベースにあるのかもしれない。ただ、それも、その人にとっての幸せなのかなって。

――実は深いテーマなのに、曲調がポップなのでサラッと聴けるのがいいですよね。次にカップリングについてですが、こちらにはJAKIGAN MEISTERらしい楽曲が2曲収録されています。

咲人:“らしい”というか、まぁ、自然に出てくる感じの曲かな。あまり考えないでできちゃうような。

――「50415041」はライブで盛り上がりそうですし、「微睡む」はゆったりした曲調が独特の空気感を出してますよね。

咲人:「微睡む」は4年くらい前には、ほぼ土台ができていて。これはいちばんニュートラルというか、何も考えずに作ると、こういう曲になるんですよ。俺の中では、夏休みの終わりかけぐらいの時期にボーっとしてる感覚っていうのかな。

――抽象的ですけど、何となくわかります。何とも切ないというか、諦めもあって気怠いような(笑)。

咲人:夏休みが終わる切なさみたいな。友達と遊んできたのも、もうすぐ終わっちゃうし、宿題やらなきゃなって(苦笑)。そこに加えて、ファンタジー要素も好きだから、例えば昼寝……普通に寝ている時でもいいけど、現実とは何の脈絡もない夢を見たりするじゃないですか。前衛的だけど、激しくないような映像作品の感覚なんですよね。ファンタジーなんだけど、“これ、何なんだろう”っていう。よくわからないけど引き込まれるアニメみたいな質感っていうのかな。子供の頃、実際ひとりで留守番をしてた時に、たまたまテレビでそういうアニメを見たことがあって、それも夏休みとつながる感覚なんだけど、そういうものを曲として表したかったんですよね。

――「50415041」の方はどういう経緯で生まれたんでしょうか?。

咲人:まぁ、ノリのよさは意識しましたけど、自分が好きなビートを取り入れました。

――お好きな感じのビート……というのはわかるような気がします。ちょっとソフトなインダストリアルというか。

咲人:リフものがやりたかったんですよね。これ、ナイトメアの「livEVIL」っていう曲のリフとリズムが一緒なんですよ。“あれ? 何かこの感じ、聴いたことある”っていうのを狙いつつ。だから「Que sais-je?」のストリングスの駆け上がりのフレーズとかは「VITA・SEXUALIS ヰタ・セクスアリス」(『Ejaculation』収録曲) のサビメロと一緒だったりとか。

――へぇ~! 面白いですね。そういう遊び心って。

咲人:随所に“これ、前作に出てきたあのキャラにちょっと似てるな”っていう(笑)。シリーズのファンって、そういうので高まるじゃないですか。決してネタ切れっていうわけじゃないんだけど、狙っちゃうんですよね。まぁ、遊び心です。ちなみに「5041504」のテーマは何だと思います?

――咲人さんは、たまに世相を盛り込んできますんで、ちょっとハードめなメッセージがあるのかなと……。

咲人:このタイトル、意味がわからないじゃないですか。これアスキーコードで変換すると意味がわかるんです。

――……と、申しますと?

咲人:要は暗号的なものがあって。

――最大限、優しく言うと、どういう意味になるんでしょうか?

咲人:変換すると“PAPA”になるんですよ。ということは……“パパ活”女子ってどういう気持ちでやっているんだろうっていう。もちろん、まわりにそういうことをやっている人はいないからわからないけど。

――思い切り世相が入ってますね。実際、生活のためという方もいれば、推し活のために……という方もいらっしゃるようで(あくまでネットニュース調べ)。

咲人:それをやっている人にとっては、自分が選択した生き方だろうから、別に否定するわけではないんですよ。ただ、俺だったらどうなるのかなって。そう思って曲にしてみました。何だろう……時代っていうか、最近の世界の流れとか日本の経済事情とか、いろんなものを含めて起こっていることなのかもしれないなって。何かお利口なことばかり曲にしてても面白くないというか。やっぱり俺の中では常にバランスが必要で。だから、割とストレートな「Que sais-je?」があって、ラフな感じの「5041504」があって、その対局にある「微睡む」があって。1個のパッケージの中でもバランスを取りたいんですよね。薬だけじゃなく、毒も欲しいっていう。

――そう考えると今回のシングルには全体的に統一感があるような気がしますね。

咲人:統一感……あるのかな(苦笑)。

――いや、“答えは見つからないけど、前に進むしかない”っていう。

咲人:ああ、そうね。とはいえ、あまり説教臭くもしたくはないんだけど。どちらかというと、自分の殴り書きを形にしましたっていう感じかな。そういえば、昔書いたナイトメアの「レゾンデートル」っていう曲にも最後に“答えは知らなくていい”っていう歌詞が出てくるしね。あれは今聴いても“そうだよな”って思っちゃうし。

――おお~、いろんな伏線がありますね。

咲人:俺自身のテーマとか生き方って、全然変わってないことかな(苦笑)。“これ、やっていて何の意味があるんだろう”って考える瞬間もあるけど、そこに意味を持たせるならば、何かをやっていることに意味があるのかもしれないし。それこそ、今すぐ結果を求めることが全てじゃないからね。

――早くに結果を出している人を見れば焦りも感じますけど、年齢を重ねてから何かを見つけるスーパーシニアの方もいますしね。

咲人:俺は生きていく中で感じることを曲や歌詞にするしかないんで(笑)。なんだけど、人って大なり小なり矛盾している生き物だから、この先は真逆のことを言うかもしれないしね。人って変わるものだから。

――何か正解なのかはわからないと。

咲人:正解もあるのかもしれないけど、無理やりひねくり出すものでもないし……。だったら、ふとしたちっちゃな幸せを感じる瞬間を大事にしていった方がいいのなってことかな。

――新曲が出たタイミングでライブツアーも展開中でハードスケジュールですが、ライブで伝えたかったことはありますか?(ファイナルは9月12日@新宿BLAZE)、

咲人:いろいろライブが多くて、お客さんもあっちに行ったり、こっちに行ったり大変だと思うけど(苦笑)。まぁ、自分達にとっても、見に来てくれる人にとっても、仕事が終わって疲れて家に帰った時に“あ、今日は楽しみにしてたドラマとかアニメの配信日だ!”みたいな、そういうちょっとした幸せを感じるようなライブにしたいです。日々生きててしんどいってなった時に、“ちょっと嬉しい”っていう感覚になってもらえたらなって。そういうライブになればいいなと思ってます。

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