ナイトメアが今を語る! メンバー個別インタビュー!
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年の春以降、多くのアーティストがライブ活動の機会を失われてしまった。そこから季節もかわり、最近ではこれまでとは違うスタイルで観客を入れたライブもぼちぼち解禁されつつある。ナイトメアも7月17、18日の両日(17日は入場者を限定、18日は入場者を限定した上で配信も敢行)、久々にライブを開催。元気な姿をファンに見せてくれた。また、10月7日には20周年記念シングル「ink」のリリースを発表。さらには“NIGHTMARE 20th Anniversary Live Tour”もアナウンスされた(10月3日 宮城・SENDAI GIGS、10月7日 大阪・BIG CAT、10月8日愛知・Zepp Nagoya、10月11日 Zepp Tokyo)、もちろん、秋に世の中がどういう状況になっているのかは誰にもわからないが、不安定なこの時代、この状況について当のメンバー達はどのように感じていたのだろうか。ここではコロナ禍で感じたこと、ライブのスタイル、そして今後のことなどについて、赤裸々に語ってもらった。
YOMI
――YOMIさんはコロナ感染の影響でライブができなくなったり、行動が制限されるような状況をどう感じてましたか?
「本来なら今年はナイトメアの20周年だし、去年あたりからいろいろ活動していこうって計画してたんですけどね。ツアーの予定もあったし、“こういうことをやろう、ああいうこともやろう”ってメンバーで話したことをやっていけたらいいなって思ってたんですよ。それがコロナの影響でできなくなってしまって……すごく残念だなっていう気持ちと、あとは何だろう……とにかくすべての予定がとんでしまったので、もうステイホームするしかなかったじゃないですか。むしろ、“休みだ!”みたいな(苦笑)」
――ま……まぁ、確かに休みではありますが(苦笑)。
「活動ができなくなった初期段階の話ですよ(苦笑)。というのも、俺達、結成してからずっと活動してきたし、ソロ活動が始まってもここまでライブをしなかったことなんてなかったんです。なので、20年間分の有給休暇が来たような……」
――ある意味、ポジティヴな解釈(笑)。
「当然、残念な気持ちは大きかったですよ! ただ、ここまでライブができない状況が続くとは思わなかったですから。さすがにほどなくライブがやりたいなって思うようになりましたね。だから、やっぱり俺はライブが好きなんだなって改めて思いました」
――当初、“休みだ!”と思っていた時期に、何かやろうとしていたことはあったんですか?
「いや、外にも出られないし、今でこそ配信ライブがやれてますけど、最初はバンド活動をどうしていけばいいのか、わかりませんでしたからね。せいぜい自宅でインスタライブをやったりとか、そのぐらいしかできないだろうなって。それ以外では制作ができればいいなとは思ってました。この時期を新曲達を作る期間にできたらいいなって」
――やはりそうなりますよね。
「実際、制作してましたよ」
――いいですね! 先ほど、配信ライブについてちょっと触れてましたが、配信ライブについては、どう感じられてますか?
「3月末にニコ生の配信ライブをやったんですけど、やっぱり会場にファンがいないので、違和感があるんだろうなとは思ってたんです。でも、実際やってみたら、いつも通りに近いライブができたんですね。俺は、配信ライブと通常のライブとでは、そこまで違いがあるようには感じなかったです。とはいえ、実際に同じ会場で演奏する音を聴いてもらうのと、画面を通して聴いたり見たりする部分では、どうしても違いがあると思いますよ。だって、いつもなら会場に来るファンの子達もテンションが上がってるし、音源通りの音じゃなくても、それなりの良さだっていう風にとらえてくれるじゃないですか。でも、画面越しで見ていると、割と冷静に見ますよね。だから演奏のアラに気づきやすいというか……」
――そんなご指摘があったんですか?
「いや、ないけど(苦笑)、でもね、絶対に気づくと思うんですよ。自分が他のアーティストの配信ライブを見ても感じるんで。そういう部分に関しては配信ライブには、すごくプレッシャーを感じました」
――ライブではむしろ、アクシデントはラッキーな感覚がありますけどね。演奏を間違ってもう1回演奏し直してくれたりとか。
「そうそう! 会場でライブする場合はそこまで気にならないんですよ。それが配信になると、みんな冷静に見たり聴いたりすると思うから」
――う~ん、中には盛り上がって見ているファンもいると思いますけどね~。でも、7月17と18日は久々に観客を入れてのライブが実現しました。もちろん、入場者の数は制限されていましたけど。
「まぁ、こういう状況ってなかなかないじゃないですか。ガイドラインを守ってやるっていうライブはね。だから、数年後、“あの時はあんな感じだったよね!”って、ひとつの思い出になればいいかなって思います。メンバーにとっても、ファンにとってもね。その状況を楽しむみたいなスタンスでやっていけたらいいなと」
――“あの時は隣の席が遠かったね”とか?
「そうそう、“フェイスシールドしてさ~”みたいにね(笑)」
――やる方もいろいろ手探りだったと思います。
「何しろ、煽っちゃいけないとか、笑わせちゃいけないとかいろいろ言われるし。でも、“やっちゃいけない”って言われると、やりたくなっちゃうよね(笑)」
――やめてください(笑)。では、自粛があったり、いつも通りの活動ができなくなったことで気づいたことはありましたか?
「さっきも言ったんだけど、改めて、俺はライブをやることが好きなんだ、歌うことが好きなんだって再認識できたことかな。ナイトメアとして今、すごく状態がいいと思っていて。メンバーともまわりのスタッフチームともね。こういう状況だからこそ、逆に今ポジティヴに感じられてるのかもしれないです。メンバーのすごさとか、プロフェッショナルなスタッフが近くにいてくれる安心感とかね。なので、これからの活動を通して、俺らのポジティヴなパワーをみんなに分けてあげられたらいいなと思ってます」
柩
――今となっては2月11日に横浜アリーナでライブができたというのが夢のようですね。
「あの頃は自分達とコロナのあいだにまだ距離感があったんだよね。そんな身近じゃなかったというか。ただ、最初はクルーズ船が横浜に来てたでしょ? ライブ会場が横アリだったから、そこに人を集めて大丈夫なのかなっていうのはあった。そのあと、感染があっという間に広がって、世界でも重大な問題になったじゃない? 当初はさすがにここまでになるとは思わなかったよね」
――多くのライブが延期になりましたけど、皆さん、振替日にはやれると思ってましたしね。
「そうだね。ただ、俺らも2月末くらいまではFCライブをやってたんだけど、その時も大丈夫なのかなって思ってたし、事務所に何度も確認してた。周囲ではライブを延期とか中止にするっていう話が出てた時期だからね」
――結果、ナイトメアも予定していた公演が延期になりました。
「やっぱりそこはストレスだったかな。ライブができないことへのストレスもあったけど、それよりも20周年に向けて走り始めたことが止まってしまったのが悔しかった。でも、誰も恨むわけにもいかなかったし……。まぁ、ナイトメアってずっと活休期間だったから、変な話、違和感はないんですよね。ただ、20周年に向かって走り始めた時にこういう状態になってしまったので、そこは残念……。ファンの子達にとっても、3年の活休を我慢できたのは、2020年の20周年がある……って、何となくみんな思ってたわけじゃない? 20周年には何かやるんだろうなっていうね。横アリとFCツアーは少しだけやったけど、途中でストップしちゃうと、“え?”っていう感情はあると思う。俺としては3月のツアーが5月に変更になった時点でも悔しかったけど、もはやこの先、どうなるかわからないよね」
――半年後、1年後が大丈夫とか、誰もわからないですし。
「マネージャーからは何となく今後の予定が流れてくるんだけど、全部“仮”っていうか。もちろん、やれるように心構えはしていくけどね」
――想定外の時間ができたことで、曲を書きためようとは?
「リリースの予定も変わってくるからね。俺が思うに、ナイトメアっていうのは柱になるコンポーザーがふたり(RUKA&咲人)いるじゃない? だからたまに曲を書くような俺が曲を出すのは違うのかなって思った。今、ナイトメアが新しく世に出す音は、今までナイトメアが培ってきた“ナイトメアらしさ”っていうのがいちばん必要なんだと思う」
――すごく客観的にバンドを見ているんですね。
「俺はそう思うかな。アルバムを作るのなら自分も曲を作るかもしれないけど、今はアルバムを作る時期じゃないと思うから」
――7月には新木場STUDIO COASTで、入場者の数を絞って、かつ配信ライブも行いました。配信ライブという手法についてはどう感じましたか?
「俺、配信はコンテンツとしてアリだと思う。今までの普通のライブが普通なんだっていう概念は捨てなきゃダメだなと思った。“普通にライブやりたいよね”っていう普通はもうしばらくないって思わないと、気持ちが追いつかない(苦笑)。だから配信はアリかな。俺ら3月末にニコ生で配信ライブやったじゃない? 実はその数日前にDIR EN GREY先輩が配信ライブをやって、俺、最初から最後までリアルタイムで見たんだよね。それが信じられないくらいカッコよかった。単純にカッコいいライブをやり続けている人達は映像でもカッコいいんだなって。もう何も言わせないっていうかさ。涙出るかと思った(笑)。照明とか演出があってライブがカッコよくなるのもわかるんだけど、もう存在がすごいんだよね。俺、あのライブを見てなかったら、配信ライブってアリだと思わなかったんじゃないかな。自分達がああいいライブができるかって言われたら、正直今は難しいと思う。もちろん、バンドのベクトルは違うし、俺らは俺らなんだけど。ただ、ああいうライブを見せられたら、“うわ~、ライブに行ってみたい”って思うじゃない? 自分達もそういうバンドになってないとダメだなって」
――では、こういう時代だからこそ、この先やってみたいこと、チャレンジしたいことはありますか?
「メンバー5人が別の場所にいて、ちゃんと音を共有できるようにして、それの配信ライブをやってみたい」
――イマドキな発想ですね。
「それぞれが考えた世界観のセットでね。ひと部屋ひと部屋、作ってもらって。できれば、ひとつの建物の中で。例えば俺だったら、おどろおどろしい部屋でいいんだけど」
――面白そうですね。でも、制作費は高そう(苦笑)。
「そうそう、でもやってみたいな(苦笑)。とはいえ、俺らにできる範囲ってものすごく狭いからね。できれば、世界規模で“ここまではやっていいよ”っていう基準を決めて欲しいと思う。せめて国レベルでルールを決めてくれたらいいんだけど。まぁ、元のように戻るかどうかはわからないけど、まずはみんなコロナにかからないようにして欲しいね」
咲人
――ここ最近のコロナ禍で思ったのはどんなことでしたか?
「世の中、こんな簡単に壊れるんだなっていうね。東日本大震災の時も思ったけど、何もできなくなるというか……。自分自身はモチベーションが上がらなかったな。でも、すぐに動く人達もいたから“すごいな”って。改めて、“当たり前”っていうのはないんだなって思った」
――家にいることしかできなかったですもんね。ただ、前向きに考えれば曲を作る時間がたくさんできたっていう風に方向転換もできたんじゃないですか?
「制作はしてたけど、集中はできなかったかな。この状況はいつ終わるんだろうって感じだったし、1~2ヶ月は自分なりの音楽活動ができなかったよ。制作も練習もね。でも、いろんなものを見直すキッカケにはなったと思う。小さいことを言えば、今、自分の生活に本当に必要なものと、そうじゃないものとか、本当に好きなものって何だろうとかね」
――いわゆる断捨離……みたいな?
「あ~、それね、まさに断捨離の本を読んだんですよ。ウチは物が多いから。楽器もそうだし、少しでも取捨選択しようと思っていたんだけど、断捨離だけはできなかった(苦笑)」
――本まで読んだのに(笑)。
「やろうやろうとは思っていたんですけど……。まぁ、それでも音楽における新しい試みは何か始めてみようかなと思って、曲作りで使っていた鍵盤を新しく買いました。61鍵のでっかいやつにして、ピアノの練習を始めたりして」
――断捨離どころか逆に増えましたね(苦笑)。
「デカくなって増えたね(笑)。物が捨てられないのは俺の人生の課題だな。まぁ、もしかしたら遺伝なのかもしれないけど。実家も結構、物が多いから。去年亡くなったおばあちゃんもいろんなものを取っておく人で、それこそ生地の切れっ端とかそういうものまで大事に取っておくような人だったのね。遺品を整理していた時に、そういう切れっ端がたくさん出てきたんだけど、そこでイトコが“これを使って何かを作ろう!”ってなって……。そういうのっていいなぁって思うと余計捨てられない(苦笑)」
――ちょっと落ち込んだ時期を経て、最近では制作も進んでますか?
「曲は作ってる! 今週はナイトメアとは別の案件なんだけど、5曲作らなきゃいけなくて……ヤバイなと(苦笑)」
――なかなか過酷なスケジュールですが、仕上がってます?
「ネタとしてはあるんだけど、どれも完成してないんだよね(苦笑)」
――いきなりシビレる状況ですね(笑)。でも、バンバン制作ができる精神状態になったのはいい傾向だと思います。ちなみに、自粛中にはリモート飲み会とかしなかったんですか?
「1回だけやったけど、何かあまり……頻繁にはやらなくていいかなって思った。やっぱり会って直に離すのとは違うと思ったし、そこは配信ライブと実際のライブとは違うなっていうのに近いかな。空気感は全然違うと思う」
――配信ライブのお話が出たので、実際、配信ライブを体験されて、リアルのライブとの違いをどう感じられたのか、もう少し詳しく教えてください。
「3月末に一度ニコ生の配信ライブがあって、その時は“これはこれでアリだな”と思った。とはいえ、目の前にお客さんはいないし、声も聞こえてこないし、反応もわからないから、“今、どんな感じなんだろうな”って思うこともあったよね。ただ、演奏自体は普段とそんなに変わらないテンションでできたと思う。配信のいちばんいい点をあげるとすれば、会場まで来られない人でも見られるっていうことじゃないかな。ネットベースの世の中に合ってると思う。海外の人が見れる機会もあるしね。でも、古い人間の考え方かもしれないけど、やっぱり生だからこそ感じられる音圧とか空気感って絶対あるから、そこは伝えきれないよね」
――こういう配信ライブやってみたいというアイデアはありますか?
「何台かカメラがあって、ユーザーが好きな画面を選べるとか。そういうのはやって欲しいかな。レイアウトも選べたり……って、そのうちそうなると思うよ。そうすれば、“俺、今ギターソロ弾いてるのに映ってない”っていうのもなくなるしね(苦笑)」
――やはり将来の展望としては、なるべく早く元通りのライブ環境になって欲しいというところでしょうか。
「それはその通りですよ! あとは、この状況の中で、それぞれが気をつけて、感染しないように、させないように……そこは基本としてあるとして、この先変わらない方がいい部分と、変わっていく部分もあると思う。やっぱりエンタメ業界って、世の中の流れに柔軟に対応していくことも必要だから、まわりの変化についていくスピードも大事だと思うよ。DIR EN GREYとか、結構早いタイミングで配信ライブをやってたけど、すごく羨ましかったな。過去も大事だけど、そこにこだわるだけじゃなく、アタマを柔らかくしていくことが大事なんだなって気がしてます」
Ni~ya
――まず、新型コロナウイルスの影響でライブ活動ができなくなったりと、音楽業界には相当の影響がありました。当初はどのように感じてましたか?
「最初、それこそコロナが中国で広がり始めた頃は、まったく他人事みたいな感覚でした。日本ではそんなことになるわけがないだろうって……。で、2月の横アリの復活ライブが終わって3月に入ってからかな……大変なことになりましたよね。その時は俺自身、ホントにお先真っ暗状態でした」
――気分的に落ち込んだと?
「いや~、落ちましたよ! 俺、あまりネガティヴになることはないんですけど、この時ばかりはもうガックリきましたね。だって、テレビをつけてもニュースもワイドショーも、全部コロナ関連で、毎日感染者が何人出たって……まぁ、今もそうですけど……で、携帯を開いても同じような情報ばかりでね。しかも、外に出られない、釣りにもいけない、仕事もない、お金もない(苦笑)……そりゃ、病みますよ! 自分でもちょっと“コロナ鬱かも”って思いましたもん」
――Ni~yaさんって、どちらかと言えばポジティヴな考えなのかなと思ってました。
「これから先、自分はどうしたらいいんだろうっていう不安もありましたからね。ライブも結構ギリギリまでFC限定とかやってたんですけど、それからすぐにライブハウスは開けられない状態になったし。そういうのもストレスだったけど、そのうっぷんをはらすところがどこにもないんですよ」
――飲みにもいけないし……。
「そう! 飲みにもいけない(苦笑)。もともと俺ってアクティヴな人間なんで、家に閉じこもってるのは嫌いなんですよね。だからもう苦痛でしかなかったです」
――そんな状況をどのように乗り切ったんですか?
「とりあえず、これまで自分がやってこなかったこと、避けてきたことにトライしようと思って」
――ほぉ!
「ゲームをやってみたり、あとは勉強してたね(笑)。漢字の勉強したり」
――漢字! それは大事ですね。
「うん、大事。あと、映画に関しても、これまでって自分が興味ある作品しか見てこなかったんだけど、せっかくなんでこの機会にいろいろ見てみようと思った。好き嫌いはよくないなって。それ以外では、好きな料理に没頭したりね。うん、料理は楽しかったな。だって昼飯を作って食ってる時に“今日の晩飯、どうすっかな~”って考えてたから」
――どんだけ料理が好きなのかと(笑)。
「俺って基本的に和食ばかり作る人間だから、洋食には手を出してなかったのね。なので、洋食とか韓国料理とか、これまで作ってこなかったものに挑戦しつつ、自分を保ってたな」
――数あるレパートリーの中で、いちばんの得意料理はなんですか?
「いちばん得意なのは焼きそば!」
――焼きそば……ですか(苦笑)。それはちょっとズルいような(笑)。
「ズルいよね(笑)。焼きそばじゃなかったらチャーハンかなぁ」
――それもちょっと(苦笑)。
「あ、煮物だ! 魚料理は得意です」
――それは納得です。釣り好きだけに、魚はさばけるわけですよね?
「さばけるよ。炙りでもタタキでも何でも出来ますよ。天ぷらでもフライでも……」
――さすがですね!
「もちろんです(笑)」
――普段は魚を使った和風料理を作っていたNi~yaさんが今回挑戦した洋食って何ですか? ハンバーグとか?
「ハンバーグ、作ったねぇ(笑)。あと、俺がビックリしたのは手作り餃子っておいしいんだなってこと。今回作ってみたんだけど、今まで食べてきたどの餃子よりもおいしくて。ホントにいろいろ作ったなぁ。作りすぎてあまり覚えてないんだよね(苦笑)。しかも俺、残念なことに画像を撮ってなくて」
――あああ、もったいない!
「何かに使おうとか思ってなかったからね、その時は(苦笑)」
――そうやっていろんな可能性が広がったということは、この先、何か連載もできそうですね!
「できる……かな(笑)。ただ、料理とか味付けとかはデタラメですよ。大さじとか使わないし。全部男の目分量ね(笑)。あとは味見して、足りないものを足すくらい」
――そういうのがいいんです!
「あまり参考にならないと思うけどね。毎回同じ料理は作れないし(苦笑)」
――気持ちがだいぶ平常心に戻ってきたところで、最近では配信ライブだったり、人数制限はあってもライブがやれるようになったり……と、少しだけ状況が前進した感もありますね。配信ライブに関しては、通常のライブとの違いを感じたりしてますか?
「そもそもライブがやりたくてバンドを始めてますからね。まず、3月末にニコ生の配信ライブをやったんですけど、あれはあれで楽しかったです。コメントでファンの子達とのコミニュケーションは取れるじゃないですか。だから普通にライブしている感覚はあったし、これはこれでアリなんだなって思いました。やっぱり見てくれているんだっていうのは伝わりますからね。もちろん、目の前にお客さんがいた方がいいに決まってるけど、配信でも俺は悪くないなって思った。ライブできる状況があるだけでもありがたいかなって」
――今後、いつも通りの活動ができるようになる日が来て欲しいところですが、未来が不透明で何とも難しい……。
「正直、先は見えないし、ここからもっとひどくなるかもしれないし。そうなったら……そうだなぁ、もう音楽をやめるしかないかなぁ、俺は。うん、音楽ができなくなったらやめますね! 潔く! ウチらはこれが仕事なんで、まともに音楽活動できなくなったら違う職業につくしかないよね。ぶっちゃけ、俺はそこまで覚悟してますよ」
――やめて欲しくはないけど、そういう考え、すごく潔いです!
「極端なことを言えば、ひとりでも音楽はできると思う。家でギター弾いたりね。俺、それでも楽しめる人なんで」
――Ni~yaさんが音楽を続けられるようにコロナの収束を願っています!
「あ、そうは言っても俺だって半分は何とかなるだろうって思ってますからね(笑)。ただ、いかなる状況にも対応できるように生きてます。とりあえずは、コロナに感染しないように! 死なないように……それが第一です!」
RUKA
――新型コロナウイルスの感染拡大によって、当初はライブ活動もできなくなるような状況になってしまいましたよね。まず、どんなことを感じてましたか?
「2月の広島までは、俺らもライブ(FC限定のツアー)がやれてたんだけどね。当初は……どれが本当なんだろうなって。いろいろ言われていることのね。あと、もはや目に見えないものは防げないなって思った。ウイルスは目に見えないから、どうやって避けろっていうのかって。ホントに誰か教えてくれよって思った。まぁ、風邪の予防と同じになっちゃうけど、最低限、マスクして外から帰ったら手洗いしてうがいするっていうのはやれても、それ以外は何すればいいかわからないよね。俺なんかひとり暮らしだからさ、生活していればメシを食わなきゃいけないわけで。で、メシを買いに行くためにスーパーにも行かなきゃいけないわけでしょ? もうね、運だなって。スーパーに行って帰ってくるだけでも、感染する確率はあるわけじゃない? もう横浜アリーナ(2月11日)の頃なんて、そんなことまで全然想像できなかったよね」
――いやもうホントにどうにもできませんよね。で、お話の中でスーパーに食材を買いに行くという、案外庶民的な部分が露呈したのが興味深いです。
「だって飲食店も閉まってたし、作るしかない時期もあったからさ」
――料理するというイメージがあまりなかったので意外です。
「ホントですか? 作りますよ。ご飯を炊くぐらいは(苦笑)。それと、料理名のわからないようなものは作りますけどね。肉を炒めるとかさ。まぁ、醤油を入れておけば絶対おいしくなるから」
――自粛期間、気持ちを切り替えて制作に没頭する人もいたようなんですが、RUKAさんはどうだったんですか?
「俺はもう何もやる気が起きなかった。もともとマイナス思考っていうのもあるし、楽しい方向に考えられなかったというか――曲も歌詞もね。そんな時に曲を書いたら、すごく暗くて世の中に出しにくい楽曲になっちゃうだろうなっていうのもあって。だから3月くらいはホントに何もしてなかったですよ。ひたすら自粛だったかな。まぁ、ひとりで住んでるから人に会わなければいいわけだし、最悪、自分がコロナにかかるのはもうしょうがないって思ってた。そりゃもう運だから。ただ、街が真っ暗な様子を見るのは、すごく気が滅入るなぁと思ったよ。3月末にはライブがあったから(3月29日 ネット限定ライブ『NIGHTMARE × niconico Premium Special Studio Live』」)、そのリハーサルに入ったりはしたけど、何か心ここにあらずみたいな感覚だったね」
――自粛中にはリモート飲み会も流行りましたが……。
「俺、1回もやってないんだよな」
――最近は世の中も動き始めたし、7月17、18日には、多くの規制はあるとはいえ、実際にお客さんを入れてのライブも実現しました。さらには配信ライブも行いましたが、あのようなスタイルについてはどう思いますか?
「事情があって、どうしてもライブ当日に来られないっていう人達にとってはすごく良いと思う。でも、配信は実際のライブの代替になるものではないなって思う。一緒ではないなって。例えば、地方にいてライブに来られないとか、外出できない人が見られるっていう人達には便利だけど、利点はそこだけで。あと、子育てで外出できないとか、家庭によってはライブに行くのを許してくれない親御さんがいるような人達でもライブを見られるのはいい部分だよね」
――今後、どういう活動をしていきたいですか? もちろん、現段階では将来の話は難しいと思いますが。
「いや~、これでぜひライブに来てくださいとは言えないよね。すごく難しいと思うな。状況も日々変わっていくから、もうよくわからないし……。あ、でも、最近は曲を作り始めてますよ。無理やりだけど(苦笑)。まぁ、俺の場合、もともとそういう制作の仕方をしているからね。ペースが遅いんですよ」
――曲を書こうというテンションになっているのはホッとします。
「そうそう。そのあたりは3月くらいから変わってきたね」
――最後に、こういう時期だからこそ気づいたことは何かありましたか?
「いや~、あまり崇高なことは思いつかないですよ。ただ、自分がどうなるかわからないから、やりたいことは全部やるべきだなって(笑)」