10月14日、ナイトメアの各メンバーのソロプロジェクトが一同に会する超豪華な対バンイベント<little HEARTS. 11th Anniversary Special Live『伊達漢祭』>がZepp Tokyoで開催された。このイベント、ちょうど1年前にも行われ、アンコールではRUKA(Dr)、Ni〜ya(B)、咲人(G)、柩(G)、YOMI(Vo)のナイトメアメンバー5人がステージに登場し、ファンに向けてコメントしたのが記憶に新しい。しかも、今回は開催日前に“重大発表あり”という前フリがあり、さらには2020年はバンド結成20周年を迎えるというタイミングもあって、この日、会場に集まった多くのファンは“ナイトメアの復活”……を期待していたに違いない。
とはいえ、まずは個々の活動でアーティストパワーを磨いている各プロジェクトのパフォーマンスをじっくり堪能することにしよう。
開演時間ピッタリに幕が開き、一番手に登場したのはRUKA率いるLSN。RUKAと共に活動を支えているのは揺紗(Vo)、TOSHI(G)、齋藤紳一郎(G)、Sugiya(B)という面々。重たいイントロで始まる「MODO NOSTRA」をプレイ。冒頭から聴かせる曲をチョイスするあたりにLSNらしいヒネリが感じられた。2曲目の「病の地より」以降は、熱量の高い楽曲が続く。3曲目の「Cruel」は、彼らが始動した2010年に発表された曲。ここで揺紗は「いけるか、お前ら!」と場内に気合をブチ込む。後半は「GAUDY」や「Bug's Life」など、パワフルな楽曲でフロアを熱くしていく。ラストは高速ハードチューンの「D.E.W」で締めくくり、代表曲で構成した濃いセットリストで場内を盛り上げてくれた。MCも挟まず、スピーディーに展開していくパフォーマンスもLSNならでは。最後に「ありがとうございました! LSNでした!」と揺紗が短く挨拶。RUKAはというと、真っ先に楽屋へと向かっていく。これがまたRUKAらしいところだ。LSNは、この後も“LSN TOUR 2019 D.E.W”が決定しており、12月20日には今年を締めくくるライブ、“LSN LIVE at RizM "2019 LAST”も青山RizMで行う予定だ。もっと彼らの曲を楽しみたい人はぜひ足を運んでほしい。
2番手はちょうど1年前にNi〜ya(BULL FIELDでの表記は新弥)がスタートさせたバンド、BULL FIELD。前回の伊達漢祭では持ち曲は3曲のみの演奏だったが、今年2月には初音源『BATTLE FIELD』を、6月には2ndミニアルバム「BLAZING FIELD」をリリースしてレパートリーを続々と追加。ライブに向けて着々と準備を進めていたのである。幕が開くと、バンドがすでにスタンバイしており、Ni〜yaはブリブリのベースで「BEGINNING」につなげた。サポートには衍龍(RAZOR/G)と哲也(RAZOR/Dr)を従え、冒頭から動きのあるパフォーマンスで攻めていく。トリオという最小編成ながら、Ni〜yaも衍龍も、とにかくアグレッシヴだ。Ni〜yaはMCで「1年ぶりにこのステージに帰ってきたぜ! 去年も言ったけど、ナイトメアの活休前に“ソロ活動はしねぇ!”と言って、結果やっちまいました(笑)。でも、おかげでいろいろ勉強できて、続けてよかったと思う。これもみんなのおかげです! ありがとうございます!」と挨拶。ボーカルやソロの曲作りで大きく成長できたことを報告。新曲「BREAKAWAY」を含め、彼らしい直球のR&Rで疾走感のあるステージを見せつけた。ちなみに、BULL FIELDは“2ND ONEMAN LIVE BRAVE FIELD”(11月27日@青山RizM)も決定している。今後の活動にも注目だ。
3番手はYOMI(TAKE NO BREAKでの表記は淳)率いるTAKE NO BREAK。YOMIをもり立てるメンバーはシン・マナヒロ(G)、朋(B)、デスヲ(Dr)。幕が開くと、いきなり派手なレーザー照明が飛び交い、場内の雰囲気はポップな空気に一変する。デジタルサウンドを取り入れたキャッチーなサウンドを武器に1曲目の「dirty_white」からフロアをノせていく。最初のMCでは、「今日という日を楽しみにしてました! ニコ生のみんなも見てるか〜い?」と、ニコ生中継を見ているファンにも呼びかけ、彼らしい気づかいを見せた。5曲目には今年7月にリリースしたシングル「infinity」を披露。ハードにしてメロディーが際立つサウンドは、初めて聴いた人でも体が動いてしまう。観客もジャンプして反応。いいノリを生み出していった。後半戦では、SEに合わせて手拍子が起こり、さらなる一体感が生まれていく。「Zepp、楽しんでるかい? この調子でいこうぜ! タオルを持ってくれ!」とYOMIも自らタオルを回し始め、パーティーチューンの「Jump in the Sound」へ。ラストは再び派手な照明が場内を飛び交い、11月6日にリリースするニューシングル「Never Leave You」をバッチリ聴かせてフィニッシュ。YOMIは「冬にツアーがあります! 是非遊びに来てください!」と、来年1月の東名阪ツアー“Neaver Leave Me”をしっかり告知して、楽屋へ戻っていった。
4番目には柩(gremlinsでの表記はHits)とKNZ(Dr)によるプロジェクト、gremlinsが登場。サポートメンバーは柩の盟友、美月(G)とChiyu(B)。オープニングSEは映画『グレムリン』でおなじみ、ギズモのテーマ「グレムリン・ラグ」。SEに乗って登場した柩とKNZはエキゾチックな衣装。拳が上がるアグレッシヴな楽曲をそろえている彼らは、十分に体が暖まった観客をさらに駆り立てていく。柩は「おこんばんは! 元気ですか! お祭りですよ! 浮かれてますよ! 好きにノって楽しんじゃってください!」と挨拶し、3曲目の「耳心過.」へ。続いて新曲の「snatch」を初披露。「新曲をやらせていただきました。みんなの前でやるのは初めて! かわいがってください」と、笑顔を見せた。ここから後半はライブのマストチューンを連発。「タオルとか持ってるかな、キミたち! もっともっとアバレていこうぜ!」と煽って「the brilliant world」へ。色とりどりのタオルが会場に揺れる中、ステージ上のメンバーもいい表情。「FLYAWAY」では、観客の方からも大きな声が出る。こうして「もうちょっとはしゃげるか、東京! ラスト!」とけしかけて、ラストナンバー「Bacchus」へ。KNZも派手なドラミングで踊れるビートをたたき出す。フロアを見ると、みんないい感じで踊りまくっていて、イベントの空気もいい雰囲気だ。そんなgremlinsも11月にはワンマンライブと首振りDOLLSとの2マン“首狩祭”を4日間、青山RizMで開催する(11月12,13、20.21日)。今日だけでは物足りない人がいたら、ぜひチェックしてみてほしい。
こうしてイベントはついに大トリへ。咲人によるプロジェクト、JAKIGAN MEISTERの出番となる。サポートメンバーはNi〜ya(B)、Tooru Yoshida(Key)、HIRO(rice/Dr)。全員白い衣装で統一されている。エキゾチックなSEが流れ、独特の空気が流れる。1曲は意表をついて、しっとりした「DAWN」でスタートした。2曲目は「Crook」。今年5月にリリースしたアルバム『Bhava』の中でも瞬く間にライブの人気曲になったナンバーだ。サビで観客が手をクルクル回す振りも定着し、ノリのヒートアップしていく。MCで咲人は「みんな楽しんであるかい? 今日はトリをおおせつかってしまったので、しっかりしたステージを見せたいと思います」と挨拶し、さらに「今日は新曲を持ってきたので聴いてください」と、11月20日にリリースする新曲「Halcyon」を披露した。疾走感のある楽曲で、ライブの勢いに加速をつけていく。この後は、「FC MEISTER」「名状し難いほど有り余る邪気など、ヘドバンを引き出すような楽曲で押しまくり、ラストの「ワールズエンド」まで激しさと華やかさが融合したパフォーマンスで満員の観衆を魅了した。もちろん、JAKIGAN MEISTERも12月以降、“JAKIGAN MEISTER TOUR 2019 Halcyon Days ”を予定しているので、振り幅のあるサウンドをじっくり体験していただきたい。
ここでイベントは終了……ではあるのだが、観客は誰ひとり帰ろうとしない。アンコールの声が起こり、場内は次の展開を待つ。 すると次の瞬間、時計の秒針の音が流れ、 ステージを覆うカーテンにはバンドのヒストリー映像が日付とともに映し出されていく。日付が2019年10月14日のライブ当日になった瞬間、「Quints」のイントロと同時に幕が開き、ステージ上にはナイトメアとしての5人がスタンバイしていた。先ほどまで振りまわしていたタオルで涙をぬぐうファン、ひたすら狂喜するファン、様々な感情がZepp Tokyoに渦巻いた。ラストはYOMIの「アタマ振れ〜!」という一喝でヘドバンチューンの「極東乱心天国」へ。多くのファンがこの光景をイメージしていたとは思うが、やはり生のナイトメア、あの5人の出す音はこの日、最大のサプライズだったと思う。
終演後は“NIGHTMARE 20th Anniversary SPECIAL LIVE GIANIZM 〜再悪〜”として復活公演が2020年2月11日(火/祝)に横浜アリーナで行われることが発表された。バンドとして20周年となる来年、個々のソロプロジェクトでパワーアップしたメンバーによるナイトメアとしてのステージはどんなのもになるのだろうか。今から楽しみだ。